「昨日、悲別で」ロケ地を巡る(上砂川・歌志内)

日本テレビ系列で1984年3月9日から6月1日まで金曜 21:00 – 21:54(金曜劇場)にて放送された倉本聰脚本のテレビドラマ(全13回)
北海道の過疎の炭坑町悲別から上京し、夢を追いかけて東京でタップの修業をしながら働いている若者と、故郷に残って地元で働く親友二人を軸に、東京と北海道を結んで展開する若者の心の交流を描いたこっけいで哀しい青春グラフティ。
物語の舞台は、東京、北海道・悲別町(上砂川町がモデルの架空の町)。ドラマの多くは炭鉱の町である上砂川、歌志内、砂川などで撮影され、炭鉱施設が醸し出す独特の雰囲気がドラマのワンシーン、ワンシーンに彩を添えている。
本作品はコアなファンが多く、DVDになっていないことから、一部では幻の名作ともいわれている。


2011年2月11日撮影

昨日、悲別で

原作脚本:倉本 聰
主 演 :天宮 良、石田えり、布施 博、梨本謙次郎、五月みどり、千秋 実、大滝秀治、他
ロケ地 :北海道上砂川町、東京 Tap tips 他
主題歌 :「 Memory 」、「22才の別れ」、「シングシングシング」、「ニューヨークニューヨーク」

ドラマはリュウの心の中のセリフから始まる

去年の春まで悲別にいたんだ

北海道の砂川って町から南に入った炭鉱町でね
昔は良かったけど今はもう駄目さ
炭鉱はつぶれる寸前だし 国鉄だってひどい赤字で
もうじきなくなるっていう噂がある

悲別ってのは元アイヌ語でね ケナシ別から
来たって説とカナウシ別から来たって説と

どっちでもいいやそんなこと

そこの高校を出て東京に来たんだ
今この店で働いてる 働きながらタップを習ってる

ご機嫌だよ東京は ほんと最高

駅長や与作を呼んでやりたいね
あいつら一生あっちでやっていく気だ
思っただけでも落ち込んでくるぜ

あっちのことは忘れたいんだ 山も炭住も雪も川も
それと それからお袋のことも

でもそのお袋がさ 手紙をよこすんだ
見ったくない字でさ しまんない手紙を
ほんとにしまんなくって 涙が出てくる

昨日、悲別で キツネがひかれた
昨日、悲別で 女の子が生まれた
昨日、悲別で 飲み屋がつぶれた
昨日、悲別で 昨日、悲別で・・・

この後、坂田晃一氏の音楽が流れる。
青春ドラマではあるが、甘く切なく、そしてもの悲しさを誘う音楽。
この曲でないとこの作品は成り立たないといえるくらいの名曲です。

エンディングは、函館本線の車窓風景をバックに流れるエンディングテーマは、かぐや姫バージョンの『22才の別れ』
懐かしさ漂うエンディングテーマは、これまたこの作品にぴったりの曲。

当時学生であった私は、この作品を毎週楽しみに見ていたのを覚えている。

昨日悲別で
少年が生まれ
今日悲別で
少女と出逢った
明日悲別で
小さな灯がともる
「昨日、悲別で」
倉本聰

 

「昨日、悲別で」ロケ地

悲別駅(旧 上砂川駅)

上砂川駅は、北海道(空知支庁)空知郡上砂川町字上砂川にあった北海道旅客鉄道(JR北海道)・日本貨物鉄道(JR貨物)の駅(廃駅)である。

盲腸線である函館本線の支線・上砂川支線の終端駅で上砂川町の代表駅であったが、上砂川支線の廃線に伴い1994年(平成6年)5月16日に廃駅となった。

『昨日、悲別で』では、ロケ地として使用された。作品内では「悲別駅」として数々の名シーンが撮影された。撮影後「上砂川駅」の駅舎や駅名標の裏に「悲別駅」と書かれるようになった。また、乗車券に小型の「悲別駅」のスタンプが押されて発券されていた。現在はドラマ「昨日、悲別で」の悲別駅となったことにちなんで、当時の時刻表や改札などをそのまま残し、ロケ当時の写真などを展示しています。

悲別を出ていく人は、この駅から希望をもって旅立つが、夢破れ、疲れ果て戻ってきても、この駅は暖かく迎え入れてくれる。ドラマの後半、竜一(天宮良)がおっぱい(石田えり)を迎えるシーンがあったかと思うが、まさにこのようなシチュエーションであったのかもしれない。


<1970年国土地理院の航空写真より>

上砂川駅へのアクセス

住所:北海道空知郡上砂川町北1条1丁目3番
アクセス:JR函館本線「砂川駅」下車。「砂川ターミナル」から北海道中央バス「歌志内線」又は「上砂川線」で「中央1丁目」バス停で下車、徒歩で約1分。

悲別ロマン座(正式名称:住友上歌志内炭礦会館(上歌会館))

旧上歌会館(現悲別ロマン座)は、旧住友上歌志内鉱の職員厚生施設(映画館)として1953(昭和28)年にオープン。

炭鉱の全盛時には当時の一流歌手のショーなどが催され大勢の市民で賑わいましたが、昭和46年、炭鉱閉山後は活用されることもなく廃墟状態だった。テレビドラマ「昨日、悲別で」のロケ舞台になってからは、市内の有志によって保存運動が展開され、これに伴い会館の一部も改修され、現在に至る。

雨宮良演じる主人公・中込竜一が悲別ロマン座で公演(タップダンスを披露)というシーンがあるが、実際には、ロケ時は内部には足を踏み入れることができない状態だったため、外観のみの撮影だった。

ドラマの中ではキーになる場面でたびたび登場する悲別ロマン座。オーナー千秋実さんがイスに一人座って感動している(その後亡くなる)シーンもここだったなあ。

ちなみに『昨日、悲別で』(昭和59年)のロケに使われる以前にも、昭和52年公開の『幸福の黄色いハンカチ』(監督:山田洋次、主演:高倉健、出演:倍賞千恵子、武田鉄矢、桃井かおり)のロケ地にもなっている。

悲別ロマン座へのアクセス

住所:北海道歌志内市上歌1-5 悲別ロマン座
アクセス:砂川駅から車で30分、道央道奈井江砂川ICから車で40分

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP